2016年9月29日木曜日


「近現代の仏像の話」





君島彩子氏

総合研究大学院大学 博士後期過程、国立歴史民俗博物館



(1) 明治以降の新しい仏像

特徴
 古い仏像は、史料や伝承を調査する。新しい仏像は、それだけでなく関わった人にインタビューする調査を行うので、情報が多い。

 誰が何を願い仏像を作りたいと思ったのか、そして誰がお金を出して誰が制作したのかなど、仏像を知るうえで重要な時代背景、社会背景の影響を検討しやすい


造形
 近代以降、美術の導入によって「人間に近いかたち」の仏像が選ばれる傾向にある

 新しい仏像は、古い仏像を参考にしているが、美の基準は近代以降のもの

 堂内は木像、野外は石像が主流だったが、近代以降はブロンズやコンクリート造りも増えた。近年ではFRPなど樹脂やプラスチックの仏像も作られている



(2) 巨大仏の話
 巨大仏は40m以上のものを対象。ウルトラマンより大きいというのが一応の目安(宮田珠己『晴れた日には巨大仏を見に』p.11

 『大仏をめぐろう』(坂原 弘康)、『巨大仏巡礼』(クロスケ)、『晴れた日は巨大仏を見に』(宮田 珠己)、『巨大仏』(中野 俊成)、『九州の巨人!巨木!!と巨大仏!!!(オガワ カオリ)など、近年大きな仏像に注目が集まっている。
















 巨大仏は、バブル景気(19861991)の前後に建立が集中している。また観光施設として建てられても宗教法人化されないと存続が難しい。


















 


質疑応答

1.    コンクリート表面は塗装しているのか
 放置していると鉄筋まで腐食する。モルタルやウレタン加工が行われている事例もある。
 1回の塗り直しで約5000万円 

2.釜石と仙台の観音は、東日本大震災の時は大丈夫だったのか
 奇跡的に被害はなかった 

3.今、巨大仏を作るといくらかかるのか
 100億円以上かもしれない。ビル建設コストと同じと考えられる

4.観音像の形に決まりはあるのか
 明治時代以降の慈母観音は、西洋のマリア像の影響を受けている。『観無量寿経』に阿弥陀如来の化仏を宝冠にもつという記載がある。しかし仏像の形を決める儀軌には、観音様に関する細かい規定は少ないので、新たな形の観音像の影響がある。

5.戦後、観音が多く作られている背景は何か
 高崎白衣観音がブーム火つけとなった
 どの宗派でも信仰されている汎用性が受け入れられた

6.1994年以降大仏が作られていない背景は何か
 不景気だけでなく、オウム真理教事件後、宗教に対するネガティブなイメージが定着し、社会が賛同しにくくなったとも考えられる


                                                                                    以上




                        開催日時 2016920() 午後3時~430
                        会場    雑司が谷地域文化創造館 地下1階 第4会議室
                        参加者  26名 マナビト研究生、2年生、1年生、豊島区民他



受講者アンケート(20名の方から回答を頂きました)

・当日の講演に対して14名が「大変満足」、6名が「まあ満足」

・受講者の感想

2016年9月26日月曜日

としまコミ大倶楽部 講演会
 <お誘い合わせて、ご参加下さい >


◇ 高島平団地は急ピッチで高齢化と少子化、空き家が増加
◇ 若者が入ってくるような仕掛けが必要です



◇ としまコミ大倶楽部は学びを通じて人とのつながりや、地域の魅力発見を目指します
◇ 明日の街づくり、ネットワーク作りを考えられる方や、やる気のあるシニアの皆様、是非ご参加ください



                 記


   講演 高島平団地から見える日本の変化と未来

   講師 高島平新聞 取締役会長  村中 義雄 氏

   時間 平成28年10月7日(金) 15時~16時半

   会場 区民ひろば高南第一 2階 「区民集会室」
       豊島区高田 2-11-2

   参加費  無料

   申込   Eメール    yukit05XYZ@gmail.com      ※ 先着順

   企画運営 としまコミュニティ大学
          マナビト社会的学習 「としまの魅力体験」